戦艦アリゾナのソナー調査 [ 海底調査]
今日は早朝からフィールドワーク。
パールハーバーに眠る戦艦アリゾナ(USS Arizona)を調査するのだ。
今回の調査はNational Park Service (国立公園局)に協力して、
アリゾナのオイル漏れなどの環境アセスメントを行うためにより詳細な
沈船の状態を把握するというのが目的だ。 これは2007年にうちの会社で取ったC3Dソナーのサイドスキャン画像データ。
胎児の超音波写真と同じ原理の音響画像ね。
これは音響画像にC3Dの測深データと、2009年にR2Sonic 2024の
マルチビームソナーで取った測深データを重ねたもの。
水深を色で表して描いている。
OICのオンボロ調査船Triton。
今回も2009年と同じR2Sonic社の2024マルチビームソナーを使って
調査するんだけど、アリゾナは甲板部分の大部分が海水面のすぐ下と
いうような浅瀬に沈んでいるので、ソナーで”見える”角度の限られた
マルチビーム(直下から最大80度)で甲板をどれだけ捉えられるか
微妙なところだ。
オペレーションルーム。
手前のPCでソナーデータを収録しながら、平行して奥のノートPCで
QCのためのデータ処理をしていく。
このQCデータ処理が僕の仕事だ。
調査プランとしては、早朝のメモリアルに客が入る前の時間を狙って
船にできるだけ近いところを回りながらソナー調査を行っていく。
この時間帯は満潮に近く、海面から甲板までの水深が深くなるため
ソナーで見える甲板部分が多くなる。。。
というはずだったのに、毎度のごとく社長の時間の読みが甘すぎて
余計なところに時間を取られて全然早朝に始められないし。(--;)
ソナーを海中に降ろして、システムチェックを行う。
最後に海軍警察と国立公園局の担当と打ち合わせをしたら
いざ、出航~!
戦艦ミズーリが近づいてきた。
すぐ横を通り抜けるといよいよアリゾナだ。
船首から船尾にそって右舷側を調査中。
すでにメモリアルにはお客さん入ってきちゃってる。
メモリアルの奥側。
この向きからメモリアルを見るというのもなかなか希少な経験だな。
ブイが浮かんでるところがアリゾナの船尾の先端。
メモリアルにやって来る送迎船の邪魔にならないように、
今度は船の左舷側にそって調査していく。
これを3回ぐらい回ったかな。
最後にまた戦艦ミズーリの横を通ってドックに戻って終了~。
さて、オフィスに戻ってより詳細なデータ処理をして地形図を作成。
ソナーデータ同士、またソナーと背景の衛星写真データに位置ずれがある。
これをうちのソフトの特殊な機能を使って、特徴点をマッチングさせながら修正し、
ポイントクラウド3Dモデルを構築。
船首左舷側から見た鳥瞰図。
第一主砲がはっきり分かる。
右奥に見えるのはメモリアルに繋がる船着場の係留索。
ちなみにこちらが元の形。
真上から。
甲板部は船首から1/3ぐらいまでしかソナーで捉えられなかった。
やはり浅すぎたか、満潮時からずれてしまったからか。
主砲部の拡大図。
甲板の詳細な様子が見える。
船の横に沈んでるのは艦橋部の構造体かな。
主砲から船首側を見て。
海底から船首を見上げるアングルで。
錨鎖孔(というのかな?)が2つよく見える。
今回の調査はプロボノだったけど、これが気に入ってもらえたら
より詳細に、今回捉えられなかった甲板部などの調査もできるかも?
ランキング参加中。応援よろしくお願いしま~す。
凄いお仕事をされているのですね。
ドキュメンタリー特集で見るような光景に、感動してしまいました。
by ささ (2014-06-03 18:54)
初めて目にする世界を見せていただきました。
by JUNKO (2014-06-04 12:34)
すごい写真ばかりです!
こうやって調査するものなのですね。
by さとう (2014-06-04 15:49)
びっくりしまいた。すごい!
by itomaki (2014-06-04 22:40)
貴重な画像をありがとうございました。
すっごく興味深いものばかりですね。
お仕事、尊敬します!
by ひろし (2014-06-04 22:47)
すばらしい!
こんなお仕事されてたんですね。^^
by hatumi30331 (2014-06-05 00:19)
おはようございます!
びっくりしました☆
無縁の世界を覗かせていただいた感じです!!
by ちゅんちゅんちゅん (2014-06-05 04:49)
ご訪問&nice ありがとうございます。
分野は違いますが、僕もエンジニアの端くれ
だったので、とても興味深く読ませていただき
ました。世の中いろんな仕事が有るんですね。
by johncomeback (2014-06-05 05:31)
これはすごい調査ですね。
ごく浅瀬にこんな巨体が横たわっているのも
生で見てみたいです^^
by 昆野誠吾 (2014-06-05 18:34)
> みなさま
たくさんのコメントありがとうございます。
一般的にはあまりお目にかからない分野の仕事ですよね。最近ではマレーシア航空事件の調査でも同様の技術が使われていて、実際に調査してる会社は知り合いのところだったりしますが、僕自身はそんなたいそうなことをしているわけでありません。(^_^;)
今回の戦艦アリゾナの調査や東日本大震災の港湾調査関連の仕事など、意義のある仕事に関わるチャンスが稀にありますが、そういう機会をもっと増やしていけたら嬉しいですね。
by mahimahi (2014-06-06 13:03)