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調査セッティング一日目 (長文注意) [ 海底調査]


今日は朝7時集合で朝食を食べながらブリーフィングし、8時ごろにPort Hueneme基地へ。アクセス許可の件でいろいろ問題があったけど、無事に解決したようでアクセスバッジももらえた。ただし、僕だけ基地内では軍の人のエスコートが必要だと。。。

しかも!基地内、および船内では一切の写真撮影が禁止!!とのお達しが。

およよ。。。それは残念だぁ。。。(T-T)

さて、今日のセッティングは、僕らの担当部分ではほとんど問題なしでうまく行った。まぁ、細かなところで苦労したところもあるけれど、オフィスで散々テストしてたしね。結果的にはほぼパーフェクト!

ところが。。。ハードウェアのほうではまだまだトラブルづくし。。。


(注) ここからはかなり長くて、わけ分からない説明が続くので、暇な人や寝たいけど眠れない人だけ読んでちょうだい。笑


まず第一に、ソナーとデータ収録コンピュータ(うちの担当)を結ぶケーブルで問題が発生していて、データが上がって来ない。データが上がって来なければ、もちろんデータを記録できない。これ最悪。。。まさしく何をいまさらって次元だよ。orz
まぁ、エンジニアの数日間の努力のおかげでなんとか解決したみたいで、うちのシステムまでなんとか繋がったけど。

次に、ソナーに装備するセンサーが仕様変更とかで配置されるべきところに収まらないという問題。Dah!?
ま、これはセンサーを交換してもらって解決できた。

さらに今度は調査のデザインとそれに使うシステムの問題。

今回は約1,500mの深海をTowfish(曳航体)ソナーをケーブルで引っ張って、海底から50~100mぐらいの高度を保ちながら調査をする。それだけの深度を保つためには、3,000mぐらいのケーブルが必要になる。

当然、海中ではGPSが使えないので、3kmも離れたTowfishの位置を測定するのが非常に難しいわけだ。今回のようなDeeptowと呼ばれる深海調査では、調査機器の測位が常に問題となる。でも地図を作るためには正確に位置を知る必要があるのは当然のこと。

今回はUSBL (Ultra Short Base Line)と呼ばれる音響測位システムを使って、Towfishの位置をトラックする。簡単に言えば、船に装備した音響発信装置からTowfishに向かって音波を発し、ソナーに装備したビーコンがそれを受け、音波を返す。で、船でもう一度それを受信する。音波が往復するのにかかった時間を測定し、時間から距離(レンジ)を計算する。また、船に装備したシステムは4つの受信機を持っていて、それぞれの受信のタイミングの差から方角(ベアリング)を割り出す。距離と度がわかれば、Towfishの位置をピンポイントで特定できるというわけ。

理論的には。。。だ。

これが、実際はそんなに簡単にできないわけよ。

まず、システムの限界がある。今回使用するシステムの仕様によると、音波が届く限界が3,000mらしい。スペックが3kmといっても、通常使用可能なレンジはおそらく2kmそこそこだろう。つまり、Towfishまで音波がそもそも届かないかもしれない。

次に、海は深さに応じて、塩分濃度や水温にばらつきがあったりして、層ができている。そうすると、音波が海中を移動し、濃度の違う層へ進入するときに屈折が起こる。プリズムと同じ原理ね。海面から海底へまっすぐ音波を出した場合は影響ないけれど、今回のように船から引っ張ってるTowfishをトラックするために斜めに音波を発信した場合、この音波の屈折(Refractionという)の影響が大きくなる。これが何度も繰り返され、結局音波は海中をまっすぐ進むことはない。したがって、海中の音速度の変化を考慮せずに時間から距離(レンジ)を割り出すことができないということになる。

それからシステムのキャリブレーションの問題。船の送受波機の微妙な角度のズレでも、2、3km離れたTowfishの位置では、距離にしてかなり大きなズレとなってしまう。たとえば1°のズレが3,000m離れたTowfishの位置を50m狂わせてしまう。つまり、Towfishの位置がズレの分だけ飛んでしまうわけだ。当然、地図を描くためには連続的で滑らかな位置情報が必要不可欠なわけで、このズレを補正するためのキャリブレーションが重要になる。しかし、このキャリブレーションには半日から数日の時間を要する上に、必ずしも良い結果が得られるとも限らない。

今回の僕らのように調査日数が限られている場合、時間のロスはできる限り避けたいわけで、このキャリブレーションをするかどうか、する意味があるかどうか、が議論されている。

で、今日になってプロジェクトの上層部の人とのミーティングで、新たな事実が判明したりして。。。

調査のスペックがそもそも聞かされてたものと違う。最初は海底はだいたい平らでケーブルを設置するのに問題がないかを見てほしい、と聞かされていたのに、突然、海底にある高さ1mの岩などの障害物を判別できるクォリティーのデータが必要だと言い出した。

1,500mの深海で、その解像度を要求するのは、今回の調査のデザインではまず不可能である。浅海域だったらまだしも。。。上層部がどこまで今回のような調査の難しさを理解してるのか分からないけど(いや理解してないからこういうことを要求するんだと思うけど)、無理難題もいいところ。そのスペックを満たすためには、もっとお金をかけてAUV(自律航行型潜水艇)を使わなければ無理だろう。

さてさて、どこまでクライアントの要求を満たすデータを取ることができるか?っていうか、きちんとすべてのハードウェアの問題がクリアされて調査自体実行できるのか?明日、一日セッティングして、夜中の12時には出港予定だけど。。。はたしてどうなる!?
 


船や作業の様子の写真が撮れないので、今日のおやつでも。。。ランチとディナーも船で食べたので写真なし。今回のコックさんもけっこうイケテるねー。船のクルーもいい人ばかりみたいだし、その点では救われてるかも。(^-^;;;



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